なかなかできない「相場は相場に聞け」
「相場は相場に聞け」という有名な格言があります。特に迷っている時は、私たちはアナリストや経済学者たちの意見を聞いて、相場の次の動きを探ろうとします。専門家の見解やニュースを読むことは悪いことではありませんが、それらは相場からの直接の声ではありません。
一部の人たちは、「ニュースを見る必要はない。テレビに出てくる専門家の意見も聞く必要はない」と主張しています。下記が主な理由です。
情報は株価に既に織り込まれている。
情報には偏見が含まれていることが多い。
株投資に本当に役立つ情報は内部情報だけ。しかし、内部情報による売買は法で禁じられている。
貴重な情報は毎日あるものではない。更に、本当に役立つ情報を集めるには、かなりの時間と金が必要になる。
ニュースばかりを見ていたら、肝心な相場からの声が聞こえなくなってしまう。
これは重要な情報だ!とあなたが思っても、相場もそう受け取るとは限らない。これは好材料だ!とあなたが判断しても、相場はそう判断しない場合が多々ある。
相場を動かしているのはニュースだけではない。ファンダメンタルズだけが株価に影響する訳ではない。
理論的に正しい意見が、相場でも正しいとは限らない。
私たちは分かりやすい情報、自分の好きな情報を重要視する傾向がある。
相場から聞こえてくるのは株価です。「だから私はチャートだけを頼りにトレードしているのだ!」という意見がありますが、そう言う人たちが使っているチャートも雑音だらけです。チャートを使っているトレーダーは、私も含めて、よくこんなことを言います。
MACDがゴールデンクロスして買いシグナルが出ている。
RSIは買われすぎを示している。
ボリンジャーバンドの幅が極端に収縮している。
株価は200日移動平均線から30%も乖離している。
MACDやRSIは、投資家たちに人気の指標ですが、それらは相場からの直接な声ではなく、指標を考案した人たちの意見が反映されているものです。指標が買われすぎという数値を表示しても、相場がそれに従うという保証はありません。むしろ、買われすぎなものは、買われすぎな状態が続く、といったことが頻繁にマーケットでは起きています。
「相場は相場に聞け」というのは、たしかにもっともな言葉ですが、それを実行するのは極めて困難です。たとえ相場からの声を聞いているつもりでも、私見に邪魔をされて、相場からの声を100%適切に判断することは不可能です。私たちにできることは、自分自身のトレード方法を確立し、それに従った売買をすることです。確実に言えることは、自分で確立した方法が無いと、単に雑音に振り回されるだけです。