蜂起から180年後に訪れた大塩平八郎先生の墓－成正寺

tripsteem日本版、はじめて投稿してみます。

最初の投稿に選んだのは、大阪市北区の成正寺（じょうしょうじ）にある大塩平八郎先生のお墓です。

「大塩平八郎の乱」で歴史に名を残した大塩先生ですが、本来は有能で清廉な役人であり、すぐれた学者で教育者でした。困窮する民衆を救うため元与力の身でありながら民衆を率いて蜂起するという前代未聞の行為は実を結びませんでしたが、西郷隆盛をはじめとする幕末の志士たちに大きな影響を与えたといわれています。

成正寺は慶長9年（1604年）建立の日蓮宗のお寺で、もともと大塩家の菩提寺でしたが、大塩先生が乱を起こして罪人となったため、当然、一家の墓は廃墓となりました。明治になってから再建されましたが、昭和20年（1945年）3月の大阪大空襲でお寺も墓も焼失、昭和32年（1957年）にともに再建されて、現在にいたっています。

僕が訪ねたのは、大塩先生が蜂起した天保8年2月19日（1837年3月25日）からちょうど180年後、つまり干支（丁酉）が3周した、平成29年（2017年）3月25日でした。

成正寺は大阪の街中にあり、大通りのすぐ近くなのですが、お寺の中に入ると外界の喧騒が消え去り、不思議な静けさに包まれました。その時は僕以外に訪れている人もいなかったので、なおさらその静寂が印象的でした。。

大塩先生と養子格之助の墓が並んでいます。そばには梅の木があり、3月の末でしたが、まだ花が残っていました。

境内には大塩父子の墓のほかに、「大塩の乱に殉じた人びとの碑」もあります。これは昭和62年（1987年）に建立されたものです。

このときのことは漢詩にも詠んだので、掲載しておきます。

訪成正寺拜中斎大鹽先生墓
（成正寺を訪ねて中斎大塩先生の墓を拝す）

淨刹臨街轆轆微
俠豪墳墓客臻稀
可憐濟世救民志
不問輸贏問是非
（浄刹は街に臨むも 轆轆 微かなり
　侠豪の墳墓 客 臻ること稀なり
　憐れむべし 済世救民の志
　輸贏を問はず 是非を問ふ）
https://hankeidou-shikou.net/joushouji1-ed4075bfc935

剩得墳前一樹梅
淸香髣髴出倫才
誰誹義擧輕成算
草莽瞻望崛起魁
（剰し得たり 墳前一樹の梅
　清香 髣髴たり 出倫の才
　誰か誹らん 義挙 成算を軽んずと
　草莽 瞻望す 崛起の魁）
https://hankeidou-shikou.net/joushouji2-c07149b9e6ac

後で知ったのですが、僕が訪ねた翌日の26日には、お寺で181回忌の慰霊法要と記念講演が行われたのだそうです。そうと知っていれば26日に訪ねたのですが、結果的には、普段の静かなお墓の様子を見ることができたのでよかったと思っています。

思えば、大塩の乱がおきた1837年は、ヨーロッパでいえば、復古王政が打倒されたフランス7月革命（1830年）とウィーン体制が完全崩壊した1848年革命の間、まさに市民革命の時代です。大塩先生の蜂起は、あるいは、日本における「市民革命未遂」だったのかもしれません。

最後に大塩先生が蜂起の年の正月、つまり蜂起の約2ヶ月前に詠んだと思われる詩を紹介します。先生の苦悩を窺い知ることができる詩です。リンク先で僕の拙い解説をご覧いただけます。

新衣着得祝新年
羹餠味濃易下咽
忽思域中多菜色
一身溫飽愧于天
（新衣 着し得て新年を祝ふ
　羹餅 味濃やかにして 咽を下り易し
　忽ち思ふ 域中に菜色多きを
　一身の温飽 天に愧づ）
https://nippon-kanshibun.net/ohshio-shinnen-dca5654aafd3

自分で紹介しておきながら何ですが、あまり大人数で押しかける場所ではありませんし、そうなって欲しくもない場所です。しかし、興味のある方には、機会があれば、ぜひ静かに訪れてみてほしい場所です。

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旅行地の情報
● 日本、大阪府大阪市北区末広町１−７ 成正寺

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蜂起から180年後に訪れた大塩平八郎先生の墓－成正寺
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