北海道地震でブラックアウトした件、ちょっと考えてみる

in #japanese6 years ago

先日、北海道で発生した地震について、まずはお見舞い申し上げたい。
以前どこかで聞いていた日本が地震の活性期に入った話を思い出し、いつ、自分が住んでいる場所で起きてもおかしくないと思ってしまった。(ちなみに、自分が住んでいるのは岐阜県で、過去に大きな断層地震が発生しています…)
…しかし、この地震で発生した大規模停電、いわゆるブラックアウトについて、原発推進派と反対派が派手にやり合っているのが目につく。
一応、電気関係の資格を持っている人間として、それなりの知識があるつもりなので、この件について書いてみようかなと思います。

そもそも、なんで発電量以上の需要量があると発電機が止まるのか?
昔、ミニ四駆や工作などを触っていれば、モーターを見たことがあると思いますが、アレに電球をつないでシャフトを回すと光ることをご存知でしょうか?
基本的にモーターと発電機は同じ構造で、その理由はファラデーの電磁誘導の法則により、磁力線の中の電線に電流を流すと力が発生して動く、磁力線の中で電線を移動させると電流が流れる、という法則を利用しています。
(注意 モーターの中には磁石の無い物があり、それは回しても単独では発電しないです)
それで、発電の時は電線を移動させる時に発生する電流で、電線の動きを止めようとする力が働きます。 状態を変化させないようにするわけです。
(以下、ややこしいので、電球に発電機をつないでいるとします。)
その力の大きさが、発電機に繋いだ電球を光らせるために必要なエネルギーの量になるので、電球が大きくてたくさんの電力が必要な場合、発電機を回すのに必要な力も大きくなります。
電球が大きくて、必要な電力が発電機を回す力よりも大きい場合どうなるか?
モーターを回す速さが遅くなってしまい、発電電圧が下がって流れる電流の量が下がり(電力は 電圧×電流で求められる)、回ることが出来る電力で落ち着くのですが(つまり発生する電気エネルギーが下がる)、あまりに必要な電力が大きいと、発電機が重くて回りません。
さて、ここで質問です。 動いている物を急に止めようとするとどうなるか?
反作用として大きな力が加わります。 車が塀などにぶつかった時の事を思い浮かべてもらえれば、よくわかります。
同じようなことが、発電機の場合でも起きます。 火力発電の場合は蒸気をタービン(蒸気を受ける羽根車と考えてください)に当てて発電しているので、発電機が重くなると蒸気の力をタービンにかかります。
なんだ、蒸気の力だと思われるかもしれませんが、発電所の電力は今回停止した苫東厚真発電所4号機が70万kw(電気自動車 2017年資料で日産マーチの最高出力が80kwだそうです)なので、どれぐらい大きな力かわかると思います。
このように、急に発電機が重くなると壊れてしまう事と、先ほど書いたように負荷が重くなると電圧が下がることと、日本の場合は交流電気で周波数が東日本の場合50Hzと一定なのですが、これも発電機の回転数で決まる為、急に発電機の回転速度が変わると、周波数が狂ってしまい他の発電所にも影響します。(他の発電機の回転速度が変動してしまい、安定した電力供給ができなくなります)
そこで、電力需要が発電量より多くなった場合、電気遮断機と言われるでっかいスイッチのようなのもを切って、負荷(つまりビルとか工場とか一般家庭)を切り離すか、発電機の電気遮断機を切って緊急停止させることが行われます。
今回の場合、地震により発電所が緊急停止してしまい、それにより発電量が足りなくなり、負荷の遮断が間に合わずに発電所の遮断・停止がドミノ倒しに発生したのが原因のようです。(この辺りの仕組みはネットワーク理論のカスケード故障で説明できると思いますが… 長いので書けません)

さて、ではもし泊原子力発電所が動いていた場合、どうなっていたか?
まず、ここで発電所が発電電力量を素早く変動させられるかで、役割が違うと言う話が出てきます。
なぜかと言うと、昼と夜では必要な電力量が違っていて、基本的には昼の午後2時頃が1日でもっとも消費電力が多くて、夜にかけてある一定の消費電力量まで下がると言う事を繰り返します。
つまり、夜の必要電力量を出力を大きく変動できない発電所で賄いつつ、朝になるとある程度変動させられる発電所を運転し、昼のピークが大きい時や変動が激しい時に、出力を大きく変動させられる発電所を運転します。
今回の場合、発生した時刻が午前3時だったので、ほぼベースロード電源の発電所しか動いてなかったと思われます。
つまり、泊原発(約200万kw)が稼働していた場合、不必要に余裕を持つ必要はないので、ほぼ同じ電力量の発電所を止めていたはずです。(点検などをします)
もしかすると、今回止まってしまった苫東厚真石炭火力発電所を、点検停止させていたかもしれません。
泊原発の震度は2だったそうなので、今回の地震では緊急停止はなかったでしょう。
と言うことは、電力が足りてブラックアウトということはなかったかもしれません。

ここで、やっぱり原発が必要なんだと思った方は、甘いです。
あくまで、今回の地震の震源地から見たらと言う概念が抜けているからです。
震源が原発の近くで、原発が緊急停止した場合は同じようにブラックアウトした可能性が高く、その場合は原発が正常に停止したとしても、その後にセーフティーシステムに不備があった場合、福島原発の二の舞にならない保証はないということです。(原発は正常に停止しても、その後にかなりの期間冷却を続けないと暴走する)
ちょっと調べてみて書いてみましたが、いかがでしょうか?
原発の推進派も反対派も、あまりしっかり考えもせずに自分の主張に取り入れようとしているので、自分なりに調べて書いてみましたが、みなさんの考える参考になれば幸いです。

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